設置基準
受雷部
JIS A 4201-1992
(前JIS)
雷撃を受けとめるために使用する金属体。
この中には、突針部、棟上導体、ケージの網目状導体の他、直接雷撃を受けとめるために利用される手すり、フェンス、水槽等建築物に附属した金属体も含まれる。
JIS A 4201-2003
(現JIS)
外部雷保護システムのうち、雷撃を受けるための部分。
雷撃が被保護物に侵入する確率は、受雷部システムを適切に設計することによって大幅に減少する。
受雷部システムの設計に当たっては、保護角法、回転球体法、メッシュ法を個別に又は組み合わせて使用することができる。
表1
突針方式 (保護角法) |
棟上導体方式 (メッシュ法) |
回転球体法 | |
---|---|---|---|
JIS A 4201-1992 (前JIS) |
保護角 一般建築物 60度 危険物 45度 |
導線間隔 一般建築物 20m幅 危険物 適用しない |
適用しない |
JIS A 4201-2003 (現JIS) |
保護角 レベルIV 55~25度 レベルIII 45~25度 レベルII 35~25度 レベルI 25度 |
導線間隔 レベルIV 20m幅 レベルIII 15m幅 レベルII 10m幅 レベルI 5m幅 |
球体半径 レベルIV 60m レベルIII 45m レベルII 30m レベルI 20m |
表2
保護レベル | 保護角法 h(m) | ||||
---|---|---|---|---|---|
20 | 30 | 45 | 60 | 60超過 | |
α(° ) | |||||
I | 25 | ※ | ※ | ※ | ※ |
II | 35 | 25 | ※ | ※ | ※ |
III | 45 | 35 | 25 | ※ | ※ |
IV | 55 | 45 | 35 | 25 | ※ |
備考 hは、地表面から受雷部の上端までの高さとする。ただし、陸屋根の部分においては、hを陸屋根から受雷部までの上端までの高さとすることができる。
避雷導線
JIS A 4201-1992
(前JIS)
一つの被保護物について2条以上とする。
ただし、被保護物の水平投影面積が50㎡以下のものについては1条でよい。
被保護物の外周に沿って測った引下げ導線の間隔は、原則として50mを超えてはならない。
JIS A 4201-2003
(現JIS)
被保護物の外周に沿って、相互間の平均間隔が表3に示す値以下となるように引き下げる。
いずれも2条以下の引下げ導線が必要となる。
ただし、一般建築物等の被保護物の水平投影面積が25㎡以下のものは1条でよい。
表3
引下げ導線方式 | 簡略方式 | |
---|---|---|
JIS A 4201-1992 (前JIS) |
導線間隔 一般建築物 50m以内 危険物 50m以内 |
一般建築物 2箇所以上鉄骨又は鉄筋に接続する 危険物 適用しない |
JIS A 4201-2003 (現JIS) |
導線平均間隔 レベルIV 25m レベルIII 20m レベルII 15m レベルI 10m |
接続箇所平均間隔 レベルIV 25m レベルIII 20m レベルII 15m レベルI 11m |
接地極
JIS A 4201-1992
(前JIS)
各引下げ導線に1個以上接続する。
避雷設備の総合接地抵抗は、10Ω以下とする。
各引下げ導線の単独接地抵抗は、50Ω以下とする。
JIS A 4201-2003
(現JIS)
接地システムにおいては、接地極を基本的に二つの形態に分ける。
A型接地極は、放射状接地極・垂直接地極又は板状接地極から構成し、各引下げ導線に接続しなければならない。
接地極の数は、2以上とする。
解説図に示す放射状水平接地極の最小長さをLとすると、放射状水平接地極はL以上、垂直接地極は0.5L以上とし、板状接地極は表面積が片面0.35㎡以上とする。
B型接地極は、環状接地極、基礎接地極又は網状接地極から構成し、各引下げ導線に接続しなければならない。
表4
接地銅板及び接地棒方式 (A型接地極) |
環状埋設方式 (B型接地極) |
|
---|---|---|
JIS A 4201-1992 (前JIS) |
一般建築物 / 危険物 単独50Ω以下 総合10Ω以下 |
一般建築物 / 危険物 一般的に低い接地抵抗値を推奨する |
JIS A 4201-2003 (現JIS) |
レベルIV / レベルIII / レベルII / レベルI 一般的に低い接地抵抗値を推奨する |
レベルIV / レベルIII / レベルII / レベルI 一般的に低い接地抵抗値を推奨する |
材料及び寸法
表5
規格 | 材料 | 受雷部 (mm²) |
引下げ導線 (mm²) |
接地極(mm²) | 例 |
---|---|---|---|---|---|
JIS A 4201-1992 (前JIS) |
銅 | 30 | 30 | 30 | 2.0×13 (40mm²) |
アルミニウム | 50 | 50 | - | 2.0×19 (60mm²) |
|
JIS A 4201-2003 (現JIS) |
銅 | 35 | 16 | 50 | 2.0×13 (40mm²) |
2.0×19 (60mm²) |
|||||
アルミニウム | 70 | 25 | - | 2.0×25 (78.5mm²) |
設置基準
JIS A 4201-1992
(前JIS)
一般の建築物と危険物を貯蔵又は取り扱う被保護物に分類し、これらの避雷設備の構造について規定していた。
現JISでは、これらの規定に対応するものとして、保護レベルの選定に当たっては、一般建築物では保護レベルIV、火薬・可燃性液体・可燃性ガスなどの危険物の貯蔵又は取扱いの用途に供する建築物等では保護レベルIIを最低基準とし、立地条件、建築物等の種類・重要度によって更に高い保護レベルを適用することを推奨している。
高さ20mを超える建築物には有効な避雷設備を設けなければならないが、被保護物の種類や環境条件によって、20m以下のものも必要に応じ考慮することが望ましい。
したがって、高さのいかんに関わらず、広く一般に適用し得る建前をとっている。
JIS A 4201-2003
(現JIS)
雷放電に対する雷保護システムの保護効率を、施設状態によって確率的に考えることが適切であることから、保護レベルI、II、III、IVの4段階を設定し、被保護物の種類、重要度などから実際上妥当と考えられる保護レベルを選定し、これらに対応する雷保護システムを施設するよう規定している。
一般建築物等ではレベルIV、火薬・可燃性液体・可燃性ガスなどの危険物の貯蔵又は取扱いの用途に供する建築物等ではレベルIIを最低基準とし、立地条件、建物等の種類・重要度によって更に高いレベルを適用する。
表6
保護レベル | I | II | III | IV |
---|---|---|---|---|
保護効率 | 0.98 | 0.95 | 0.9 | 0.8 |
立地条件
- その地方の襲雷頻度
- 地形(平地の一軒家、山又は頂上、がけの上)
建築物等の種類・重要度
- 建築物等の高さ
- 多数の人の集まる建築物等(学校、寺院、病院、デパート、劇場など)
- 重要業務を行う建築物等(官庁、電話局、銀行、商社など)
- 科学的、文化的に貴重な建築物等(美術館、博物館、保護建造物など)
- 家畜を多数収容する牧舎
- 火薬、可燃性液体、可燃性ガス、毒物、放射性物質などを貯蔵又は取り扱う建築物等
- 大量の電子機器を収容している建築物等